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2021.02.22
ブログ
AIコンシェルジュ
導入事例
株式会社タクトの櫛島です。
近年、さまざまな分野でのAI活用が取り組まれています。その中でもAIコールセンターは世界的にも多くの機関や企業が注目をしています。調査会社Statistaのデータによると、AIコールセンターのグローバルマーケットは年々伸び続け、2024年には世界市場で3000 million近くの市場規模になると予測されています。(出典:Statista Call center artificial intelligence (AI) market revenue worldwide from 2017 to 2024 by region)
実際に日本国内でも徐々にAIコールセンターの導入・活用している企業が増え始めています。そこで今回は当社で提供しているAIコールセンターの導入事例からどう人とAIのハイブリッドコールセンターを構築していくべきかを実体験をもとにご紹介します。
多くの方はご存知だとは思いますが、まずはおさらいとしてコールセンターについて紹介します。
コールセンターとは、企業の中で顧客からの電話対応業務をおこなう部門や組織のことをさします。電話の内容は、質問などの問い合わせから問題発生時のクレーム対応までさまざまな種類があります。
近年では、テクノロジーを活用した問い合わせの多様化により、電話対応のみならずチャットボットやメール、製品資料をダウンロードした方からの連絡などの受け答えに対応するため「コンタクトセンター」と呼ばれることもあります。また、潜在顧客といわれるこれから成約になる可能性がある対象者の連絡先を知っているが、まだ成約には至っていない場合は電話でアプローチする「テレマーケティング」「インサイドセールス」というマーケティング施策としてコールセンターを利用する企業も増えてきました。
AIコールセンターとは、コールセンターの一部または全ての業務をAIに任せて運用するコールセンターのことをさします。実際に、AIコールセンターによって運用をしている企業が国内でも徐々に増えつつあります。
AIコールセンター導入が進んでいるにはどのような理由があるのでしょうか?
コールセンターを設置することで運営するための、場所代や人件費などの莫大なコストがかかる問題があります。しかし、問題はそれだけではありません。
日本国内の少子高齢化の問題により、多くの業界で人手不足問題が課題としてあげられておりコールセンターでも人手不足は大きな問題です。パーソル総合研究所の調査によると、2030年に人手は644万人不足するという見解もでています。(出典:パーソル総合研究所)
このような人手不足対策として、注目を集めているのがAI活用による業務の効率化です。
人手不足の次にコールセンターで問題視されているのが、オペレーターへの負荷問題です。コールセンターでは、応対品質のばらつきをなくし発言内容を統一しながらも、クレーム対応などメンタル面でのストレス負荷がかかるため、メンタルコントロールをしていく必要があります。オペレーターには責任がなくても、クレームで受けるさまざまなネガティブな発言はオペレーターのモチベーションを下げてしまいます。そのためオペレーターのストレス軽減対策を考える必要があります。
しかし、多くの企業がなかなかこの問題対策ができず、オペレーターの離職率が高くなってしまう傾向にあります。さらには、高い離職率により人手不足となり、残ったオペレーターへの業務負荷がさらに集中し、更なるストレスと与えてしまうこともあります。
コールセンターの抱える課題にAIがコミットできると知られるようになってきたのはつい最近になってからです。人工知能が飛躍的な技術的発展を遂げたというのは勿論のこと、なによりコールセンターは特有の課題を抱えており、その解決手段としてAIが非常に相性が良いということが知られてきたのが大きいでしょう。
このようなオペレーターの抱える様々な課題に対して、AIコールセンターは高い業務改善効果を発揮してくれます。実際にAIはどのような機能でコールセンターを効率化してくれるのか、詳しく紹介していきます。
現在、現場で利用されているAIコールセンター活用法は主に4種類に分けられます。この4種類のAIコールセンターをうまく使い分けることにより、人手不足とオペレーターのストレス軽減対策をすることが可能となります。
・FAQ対話型AIコールセンター
・フロー型AIコールセンター
・アウトバウンド型AIコールセンター
・CRM型AIコールセンター
それでは、各AIコールセンターの種類と活用イメージについて例も含めて紹介していきましょう。
FAQ対話型AIコールセンターとは、質問に対してその内容を理解し、回答をしてくれるFAQ型のAIコールセンターのことをさします。旧来のコールセンターやコンタクトセンターでは、オペレーターやコーラーと呼ばれる担当者との対話形式による質問対応が多く存在していました。そのため、コールセンターでは
・オペレーター人財の採用と教育
・オペレーターの目標設定
・オペレーターの業務マネジメント及びメンタルマネジメント
のような業務設計から目標設定などのマネジメントを時間をかけてする必要がありました。運営をするにあたり、事前準備から管理定着まで時間がかかる上、離職した際の新たな人財の採用や新人への教育という繰り返しに疲弊するマネージャーやSVの方が出てくるような課題もありました。
参考:コールセンター目標設定のコツとは!? KGI・KPI事例と12個の評価指標をご紹介!
そのような課題に対して、新たなテクノロジーの活用によりチャットボットの利用をする企業も増えてきました。一方で、やはり一部文字を読むことへの抵抗やそもそもHPへのアクセス自体に抵抗があるユーザーも出てきていることも新たな課題となっています。
そこで近年導入が進み始めているのが、次世代型AIコールセンターと言われる、音声認識によるFAQの対応が可能なAIコールセンターです。まずは以下の動画を観てください。
このようによくある質問には音声認識することで、自動回答ができるようになります。混雑時の待ち時間の回避、定型業務自動化によるコスト削減、さらにはコア業務への人財集約が実現可能となります。
参考:利用シーンから考えるコールセンターでAIを活用してできる3つのこと
フロー型AIコールセンターとは、質問に対してその内容を理解し目的に応じた応対をするAIコールセンターのことをさします。たとえば、観光業に関わるホテルや飛行機、新幹線などの予約は自社のデータと照らし合わせて、空室や空席などを把握し、最適な日程を提示する必要があります。また、予約の変更については質問内容を理解し、自社の保有するデータと照らし合わせ変更することが必要となります。
このような、今までオペレーターが対応していた内容をAIコールセンターで対応することで応対時間の短縮化やそもそも電話が繋がらないという状態を回避することが可能となるのです。
アウトバウンド型AIコールセンターとは、ある特定の日程や時間を設定することでAIによる自動コールを実施するAIコールセンターのことをさしましす。AI自らがリマインドコールをすることにより、今で人を介していたアウトバウンドコールを自動化することができます。たとえば、入金期限や予約前日のリマインドコールをAIコールセンターで実施することでオペレーションをより効率的にまわすことができます。
一方で営業などのアウトバウンドコールはまだまだ改善の余地が残っており、今後改善していく必要があります。そのためには、各社自社に最適化させるためのデータを蓄積・保有し、AIを活用したアウトバウンドコールの最適化をしていく必要があります。そこで必要不可欠なのがCRM型AIコールセンターの構築です。
CRM型AIコールセンターとは、顧客の情報を収集することで顧客ニーズを把握し、最適な価値提供を実施するAIコールセンターのことをさします。AIコールセンターで活用できるデータ収集の仕組みを構築することで、より精度の高いAIコールセンター運用が可能となり、最終的には顧客満足度の高いコールセンター構築・運用が可能となります。そのため、準備に多少の時間が必要になるかもしれませんが、中長期的な観点からみるとAIコールセンターを設計する上でとても重要な要素のひとつとなるでしょう。
それでは最後に当社が提供するAIコンシェルジュの導入事例をご紹介します。今後の具体的なAIコールセンターの導入事例として参考にして頂ければと思います。
<課題>
無人での自動応答であるにも関わらず受付時間帯に制限があったり、通話終了後に注文が確定したかどうか確認する導線がないなど、設計に対するご意見、音声品質や操作性に対する不満の声が少なくなかったです。電話注文があふれ呼となった場合、突如無人注文システムに転送され組合員が戸惑ってしまうため、システム利用前にすぐに切断されるケースが多く、このことが注文機会のロスと共に組合員の不満、CS低下につながっていました。
<対象業務>
・注文の受付に関わる受電業務
<AIコンシェルジュによるソリューション>
ユニークユーザー数で集計した完了率は、約35%から約80%に大幅に改善した。また、ユーザーからは以下のような評価を得ている。
「思ったより組合員番号等の認識率が高くてびっくりした」
「商品名を復唱してくれるのが良い」
「(オペレーターによる)電話注文よりつながりやすいので今後も利用したい」
参考記事:【AIコールセンター導入事例インタビュー:コープこうべ】国内最大級の生協が抱える課題とAI化の成果とは
<課題>
お引越しシーズンと言われる2月〜4月の繁忙期に入退去のお申し込みが集中し、この時期の受電件数は前年比15%増加傾向にあり、当初は約5,000件を見込んでいました。
入居に伴うガス開栓のお申し込みは、申込者名や電話番号といった同じ内容をヒアリングする定型業務にも関わらず、繁忙期に向けた増員や育成研修に時間がかかっており最終的に人の手を取られてしまうので、受電件数をいかに抑えるかが課題でした。
<対象業務>
・引越しシーズン繁忙期期間のガス開栓申込み受付対応業務
<AIコンシェルジュによるソリューション>
オペレータ一1人あたりの受電件数が激減し、毎月の受電件数は前年比、平均115%と伸びているのに対し、稼働時間が平均67%と減少した。
参考記事:【AIコールセンター導入事例インタビュー:明治産業】ガス会社としてだけでなく、入居後の生活も支える会社に
<課題>
印刷関連サービスを提供するおたより本舗は、10月〜12月繁忙時期の「年賀状」注文に関する問い合わせが集中し、受電量が増えるため通常のメンバーだけでは対応しきれない状況が続いていました。
そのため、繁忙時期に合わせて数名~10数名を増員して対応を行なってきましたが、「人での電話対応」に限界を感じていました。
<対象業務>
・年賀状問い合わせの受付に関する対応業務
<AIコンシェルジュによるソリューション>
人での電話対応窓口が終わった18時以降の利用率は非常に高く、24時間、電話対応可能なAIが「お客様にとっても魅力なのでは」という今後の期待している。
また、導入時は不安の声も上がっていたが、導入して1か月が経った頃には回答率が60%を超え、その後、数値はさらに向上していたので、電話を試してくれたスタッフからは「正確な回答が出来ていた。凄いね」と社内の反応にも変化がありました。
参考記事:【AIコールセンター導入事例インタビュー:おたより本舗】24時間電話がつながる信頼できる印刷会社に
いかがでしたでしょうか。AIコールセンターの導入は近年急速に進んでおり、多くの企業がPoCを試し運用をはじめています。当社では多くの導入実績があり、各社に最適なご案内をしておりますので、AIコールセンター導入の際はぜひ当社株式会社TACTにご相談ください。
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