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2019.12.20
ブログ
AIコンシェルジュ
導入事例
組合員数は日本の地域生協で最多、総事業高でも国内最大級の大規模な生活協同組合で、単一生協としては世界的に見ても最大クラスであるコープこうべ。旧IVR(自動応答システム)は、無人の注文システムであるにもかかわらず受付時間制限があったり、注文した商品を確認する手段がないなど操作性に対する不満の声が少なくなかったそうです。システムの使い勝手と組合員満足度向上のため、なぜAIコンシェルジュを選んだのか、国内最大クラスの生協が抱える課題とAI化の成果など、供給事業部の小野田和之さんと情報・物流推進部の山下真未さんに話を伺いました。
無人での自動応答であるにも関わらず受付時間帯に制限があったり、通話終了後に注文が確定したかどうか確認する導線がないなど、設計に対するご意見、音声品質や操作性に対する不満の声が少なくなかったです。電話注文があふれ呼となった場合、突如無人注文システムに転送され組合員が戸惑ってしまうため、システム利用前にすぐに切断されるケースが多く、このことが注文機会のロスと共に組合員の不満、CS低下につながっていました。
基本的に音声認識させるのは品番や数量などの数字で、PoC(概念実証、Proof of Concept)で確認した認識率は80%以上。音声認識の精度が想定以上に高いと感じたのと同時に、音声合成の違和感のなさに驚きました。また、導入後のメンテナンス・保守などサポートも手厚く、長期的な改善が期待できることが決め手になりました。
組合員の電話注文時の録音データから、音声認識用の辞書を独自で作成しました。大量の発話データをベースにした音声辞書を活用することで、想定以上の認識精度につながっていると考えています。また、オペレーターの電話注文受付音声を元にコールフローを設計し、組合員が回答に迷わないよう、はい/いいえで応えられる対話をデザインしました。
当初設計したフローでは、商品1品注文ごとに注文の方法(注文の仕方、終わり方)を案内していたのですが、組合員からの「アナウンスが長くて時間がかかる」という声を受けて、エラー時のみ案内ガイダンスを流すフローへと修正しています。他にも丁寧な言葉づかいで構築していたアナウンスを、なるべく簡素にすることで通話時間が短くなるよう工夫しました。さまざまな組合員に使っていただけるように不要な操作を見直し、いかにシンプルに分かりやすく設計するかが一番苦労した点です。
旧無人注文システム(プッシュ型)では、電話注文のあふれ呼から突然転送されたり、あまり音声合成の品質が高くなかったこともあり、約35%ほどの完了率に留まっていました。音声とプッシュを併用しての注文が可能になった新無人注文システムでは、稼働開始から半年後の注文完了率が、約60%(コール数で集計)と大幅に改善。ユニークユーザー数で集計した完了率は、約80%に達しています。
「思ったより組合員番号等の認識率が高くてびっくりした」、「商品名を復唱してくれるのが良い」、「(オペレーターによる)電話注文よりつながりやすいので今後も利用したい」といった好意的な意見が多く、導入の手ごたえを感じています。一方で、注文の仕方や品番・数量の訂正方法などのシステムの使い方に関する問い合わせが多いので、1件ずつ丁寧に対応しながら組合員への周知を図ることで、新無人注文システムを使っていただけるよう誘導していきます。
継続的にコールフローやアナウンスを改善していくことで、完了率は上がってきていますが、利用率に課題があります。折り込みチラシやDMを活用した広報を実施し、瞬間的に利用者は増えるものの、やはりこれまでの慣れている電話注文(オペレーター電話受付)に戻ってしまうケースが少なくありません。今後は着信数UPと利用率向上に向けて、さらなる広報やスマートフォンを利用した注文方法等を検討し、組合員にとってより利用しやすい環境づくりに取り組んでいく予定です。
コールセンターへのAI導入により、サービス拡充や、効率化の支援、生産性向上に貢献できればと考えております。事例について、気になる点などございましたらお気軽にお問合せください