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2021.02.10
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コールセンター
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こんにちは株式会社タクトの櫛島です。
コールセンターの運営を行う上でオペレーター対応の品質を高め、顧客満足度を上げていくのはコールセンターを運営するマネージャーやSV(スーパーバイザー)の重要なタスクのひとつです。適切な運営をするためには、しっかりとコールセンター立ち上げの際に業務プロセス設計をすることが必要不可欠です。
ですが
「何から始めたらよいかわからない…。」
「オペレーターをどうやって育成したら良いかわからない…。」
「改善していく際のポイントを知りたい。」
などのご相談を多くお受けしております。
そこで本ブログではコールセンター立ち上げや運営の際に重要な3つの業務プロセス設計について解説していきます。ぜひ自社のコールセンター業務を改善する参考にしていただければ幸いです。
また、コールセンター立ち上げや目標設定などを検討中の方はあわせてこちらも参考にしていただけると全体的なフローがつかめると思うので目を通してみてください。
各社コールセンターに求める機能はさまざまあるかと思いますが、共通しているのはお客様と対話し、すばやくお客様の望んでいるものを提供することです。しかし、業務プロセスの設計ができていないため、お客様のニーズに柔軟に答えることができず、運用に課題を抱えている方も多くいらっしゃいます。そこで重要なのが3つのコール設計です。
コール設計とは、「何を」「どう」話すかをデザインし、定期的にフィードバックするコールセンター運営システムを設計するということです。そのために主に3つの要素が必要となります。
それでは早速、各々の設計方法やポイントを詳しくみていきましょう。
スクリプトとは、オペレーターが顧客と話をする際のマニュアルであり、その主要な役割は、会話の流れをリードし、会話の質を一定レベルに保つことにあります。従って、コールセンター全体の目的を達成できるかどうかはスクリプトの出来によって決定すると言っても過言ではありません。
コールセンターで用いられるスクリプトには、大きく分けると2種類あり、文言までを細かく決める「セリフ型」と会話の流れとその場、その場の状況に対応したトークの目安を定め会話する「ガイドライン型」があります。
説明内容だけが箇条書きで示され、「どう話すか」は、会話の流れによってオペレーターが判断するように設計されているのがガイドライン型スクリプトです。このガイドライン型スクリプトは大枠の方針のみ決め、「詳細な対応は各人の裁量に任せる。」ということが多いため、違和感なくお客様と会話できることがメリットとなります。
一方で経験が浅いオペレーターだと、想定していない質問内容などを受けた場合柔軟に対応できない可能性もあるため、そのような状況になった場合にどう対応するか。を事前に打ち合わせし、情報共有しておく必要があるでしょう。
細かく言葉使いまでを設定されたスクリプトです。オペレーターの技量や経験に関わらず、ある程度スキルの低い人材であっても一定レベルでオペレーションを行うことが可能です。教育プロセスがシンプルで比較的短い時間で実業務をスタートできるという特徴があります。
最近では、商品の販売形態が複雑で、取り扱う商品のバリエーションが多いという理由から、「セリフ型スクリプト」が適さない業務も多く、とくに顧客の反応によって臨機応変に受け答えが要求される高度なコールにおいては、「ガイドライン型スクリプト」を使用するケースが増えています。
これは、具体的な説明の範囲や内容をある程度オペレーターの裁量に任せ、自由に会話を組み立てられるようにするという方法です。しかし、「ガイドライン型」を用いる場合、スクリプトに頼らずに会話を組み立て、リードする能力が必要なため、スキルの低いオペレーターが多いセンターでは安易に利用すべきではないでしょう。
したがって、コール目的や内容、商品の性質に加え、自社センターのスタッフの能力などを十分に吟味した上でどちらのタイプのスクリプトを選択するか、検討する必要があります。
モニタリングの設計とは、月ごと・四半期ごとなどの定期的なタイミングにおいて、目標達成の度合いを確認するための設計です。コールセンターにおけるこのモニタリング分析の目的は、「品質管理・品質維持」などの目標KPI確認です。これは、インバウンドコール(お客さまから電話がかかってくる「受け身的な」タイプのコールセンター)、アウトバウンドコール(お客さまへ電話をかける「自発的な」コールセンター)はもちろん、ヘルプデスクにおいても同様です。
オペレーターの電話応対のモニタリング分析を定期的に行うことで、数字データなどだけでは把握が困難な課題の発見が見込めます。このような数値ではあらわれない課題を発見・解決し、電話応対の質のさらなる改善・向上が、最終的には企業の発展や顧客満足向上へとつながります。
理想のコール実現という目的を達成するには、長い時間をかけて課題を一つ一つ解決していかなければなりません。
そのため、定期的かつ継続的なモニタリングが欠かせないということになります。上記の通り月ごと・四半期等一定のインターバルでモニタリングを実施し、課題の発見→修正→チェックというサイクルを繰り返すことで、コールセンター全体のレベルアップが図れます。
コールセンターにおけるモニタリングの目的は、オペレーターの「あら探し」ではなく、理想のコールを実現することです。したがって、評価を受ける側であるオペレーターがマネジメント側の意図と評価項目の内容を十分に理解しなければなりません。
モニタリングは実施する前に、その目的やセンターが(マネジメント側が)目指す理想のコールイメージ、理想のコール実践のために必要なスキルなどを説明することが必要不可欠です。これらが理解されていれば、モニタリングは現場に抵抗なく受け入れられるだけでなく、スキルアップのための貴重な機会としてモチベーションアップにもつながります。
モニタリングは、ただコール内容を聞くだけでなく、評価結果をオペレーターにフィードバックしてこそ効果が得られます。一方でモニタリング運用はモニタリングしている担当者への負荷は大きくなります。そのため、現場管理の片手間に実施するという体制では、日々の業務に追われてどうしても後回しになってしまうことがあります。実際、多くのコールセンターで定期的にモニタリングが実施されない理由はここにあります。
1人あたり2時間程度というのが目安ですが、この他にサンプルコールの抽出にかかる時間なども考慮して総稼働時間を算出し、実施計画を立案しないとかなり負担が大きいと言えます。
マンパワー不足で適切なタイミングでの実施が難しい場合は、担当者の負荷軽減を検討することが欠かせません。モニタリング業務のアウトソーサーなど第三者の活用も視野に入れて検討してみても良いでしょう。
モニタリングは、個々のパフォーマンス評価ですが、全員の結果を俯瞰的に見ることで、センター全体の傾向や課題を把握することができます。そのため、モニタリング実施に際しては、個人評価とセンター全体評価という二つの視点を持つ必要があります。
個人を評価する場合には、1人につき複数のサンプルを収集し、顧客との相性やコール内容に左右されることなく実力を公平に評価しなければなりません。評価はそのオペレーターの問題点や前回と比較した成長度など、個人のスキルにフォーカスします。当然、個々へのフィードバックは必須です。
センター全体を評価する場合は、オペレーター全員について複数のサンプルを取って調査する必要はなく、全体の数字や傾向を読むのに十分なサンプルを集めてモニタリングしましょう。評価の視点としては、顧客のニーズはどこにあるのか、スクリプトなどに不具合はないか、不足しているスキルや知識はないか、オペレーターのモチベーションはどうかなどです。このような視点で見ると、センター全体の課題が見えてきます。その課題に対して、迅速に解決のための施策を講じることが必要となります。
実際のコールを聞くことで、顧客がその企業に何を求めているか(コールに対する期待値)を意識することも大切です。顧客の期待値は、コール内容や商品内容、企業ブランドによりさまざまで、例えば、高額商品を取り扱う企業やブランドイメージの高いコールセンターでは全ての分野で高いレベルの対応を求められるのに対し、廉価商品や知名度の低いコールセンターでは、それに応じたレベルの要求に留まってしまいます。いずれにせよ、顧客が期待する水準を下回ると満足度は急激に低下するため、常に顧客視点を持つことが必須です。
思ったような成果があげられないセンターの中には、スクリプトを供給するだけでモニタリングによる指導が実施されていない場合も多く、同じことを話していても、その声色や伝え方、雰囲気によって同一のトークとは感じられないコールがあちこちに見受けられるといった状況になってしまいます。
スクリプトとモニタリングを整備したところでアウトバウンド(お客さまへ電話をかける「自発的な」コールセンター)の成功が約束されたわけではありません。「何を」「どう」話すかを決めたら、それを可能にするスキルをトレーニングによって養わなければなりません。コールセンター業界で人材不足が叫ばれており、今後もその状況は続き、常に経験の浅い人材をどう活用するかを考える必要があります。
そこで重要なのがトレーニングプログラム設計です。次の章ではトレーニングプログラム設計に必要な3ステップを紹介します。
コールを実施するために必要なスキルをモニタリングシートから洗い出します。応対スキルに加えて、扱う商品やクライアント企業のブランドイメージや知識も重要な要素です。オペレーターは常に「会社の代表」として顧客に相対するため、そのマインドを醸成するためには、通り一遍の説明ではいけません。オペレーターの現状のスキルを把握した上で、「なに」を「どう」改善することで、架電や受電品質をあげれるのか明確にしましょう。
洗い出したスキルをもとに、全体的なトレーニングプランを設計しましょう。レベルや性質の異なるスキルは学習機会(研修)を分け、学習する順序を組み立て、トレーニングプログラムのフレームワークをデザインします。
プログラムのフレームに沿って具体的なカリキュラムへと落とし込むのが、詳細設計です。ここでは、個々のカリキュラムについて、どんな方法で(座学/ビデオ視聴/演習など)、何を(コミュニケーションスキル/ビジネスマナー/ヒアリングスキル)学習するか、タイムスケジュールのレベルでプランニングを行います。
その際に、使用する教材や資材、機材などのプランも同時に行い、実際のトレーニング内容をイメージするとともに、実施難易度や事前準備などを併せて検討します。このプロセスを経ると、カリキュラムの内容がスキル習得に十分でない、当初想定したよりも多くの時間が必要です。機材や資材の調達が難しい、など様々な問題点が明確化にしてくれます。
いかがでしたでしょうか?今回はコールセンターの業務プロセス設計についてご紹介しました。さまざまな設計手順があり自社のコールセンターに合う設計を考えていかなければいけません。そして設計は常に進化させていかねばならずオペレーター教育だけでなく管理者の育成も必須になり時間とコストがかかります。
設計はコールセンター運用していく中で非常に重要な部分になりますので自社の規模感やコールセンターの最終目標から無理ない範囲での設計をお勧めします。
本記事でご紹介した指標をもとに自社のサービス改善、売上拡大に向けたコストセンターからプロフィットセンターの活動の参考になれば幸いです。
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