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2020.12.29
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コールセンター
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株式会社TACTの櫛島です。
コールセンターでの目標や数値としてみえる効果測定をどのように設定すればよいかのご相談を多くいただいております。コールセンターでは、スタッフのモチベーションを保ちつつ、質の高い対応が求められます。スタッフのモチベーションを高めるために具体的な目標を設定しようとしても、
「目標設定手順や具体的な手法がわからない…」
「なんとなく目標設定をしてしまったがこれで良いのかわからない…」
「コールセンター立ち上げにあたり目標設定を明確にしたい」
という方のために
今回はコールセンターにおける目標設定のポイントをわかりやすく解説します。ぜひ自社のコールセンター業務を改善する参考にしていただければ幸いです。
コールセンターは企業の顔ともいえる、企業イメージに直結する顧客接点です。しかし、コールセンターの目標や効果測定は「顧客満足度向上」や「応対品質の向上」など定量的に測りにくいものです。そこで目標指標として使われるのが「KGI」と「KPI」です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、簡単にKGIの説明からしましょう。KGIはKey Goal Indicatorsの略で「重要目標達成指標」とも言われています。「最終的な目標」なので、KGIに向けてどのようにKPIを設定するかが重要になります。
KGIは、自社の利益に繋がるものを設定することが重要となります。また、設定数値はより具体的にすることが必要です。KGIが曖昧になってしまうと、稼働していても業務が公平に評価されなかったり、事業の方向性や目標がわからなかったりし、現場が混乱する可能性もあります。顧客満足度やコストダウン、リピート率など具体的に数値で評価できるものを設定しましょう。
KPIはKey Performance Indicatorsの略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。このKPIは事業の目標とするKGIに向けての途中経過の確認や進捗状況を確認するために数値化したものです。KGIの目標までのプロセスを誰もが同じ視点で確認・数値化できるようにすることで、スタッフみんなで目標の確認・共有ができます。
これにより、組織全体の意思統一が図りやすくなるだけではなく、スタッフの適切かつ合理的な評価もできるようになります。KPIを導入し定期的に状況を確認することで、全体のパフォーマスを数値化・分析することができ、現場スタッフとより良いサービス提供に向けた議論もできるようになるでしょう。
コールセンターでのKPIは業界・業種や社内・社外などによって変わるため一概にお伝えできませんが、ACWやAHT、ATT、応答率、新規獲得率などのさまざまな項目があげられます。
また、その企業によっても評価する視点や数値、項目が変わるため、KPIを算出するには、まず自社の現状を把握分析することが必要です。
過去記事のご紹介:コールセンター委託のキホン KPIの意味
算出方法:合計後処理時間÷総応答呼数
ACWは1コールあたりに要する後処理時間のことを指します。コールセンタースタッフの業務は通話だけではありません。通話後の入力作業などデータ入力も重要な業務のため、通話後の入力時間に要した時間が最適であるかを把握する必要がります。これにより、オペレーター個人の評価と、コールセンター全体の生産性を評価できるのです。
算出方法:(総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答呼数
AHTは平均処理時間のことを指します。AHTで1コールあたりの通話開始から後処理終了までに要した時間のことを把握することにより、各オペレーターやコールセンター全体の生産性をより総合的に把握・分析できます。過去にAHTについての記事もご紹介しているのでぜひ目を通してみてください。
過去記事ご紹介:コールセンター委託のキホンAHTとは
算出方法:総コール数÷総通話時間
ATTは平均通話時間のことを指します。コールセンターで効率的にお問い合わせを処理するために必要な指標になります。このATTは通話時間を効率的にし、コストを下げる指標に有効となりますが、ATTを下げようとすることで顧客対応の質が低下してしまう事例も多々あるので注意しましょう。
計算方法:コールセンター運営費÷総コール数
CPCとは1件の電話対応にいくらのコスト(人件費などの原価)がかかっているのか、をみる指標として広く知られています。
よくマーケティング用語のCPC(Cost Per Click)と混同されることもあるようなので、全く別の指標ということを認識しておきましょう。また、過去にCPCの記事を投稿しているのでご興味ある方はぜひ読んでいただければと思います。
過去記事ご紹介:「1回いくら?コールセンターのコストを知る、CPC」
算出方法:対応呼(件)÷稼働時間
CPHは対応件数を稼働時間で割った数値で、オペレーターを評価するための指標になります。たとえば、8時間勤務で100件対応できた場合、CPHは12.5となります。CPHの高さは、顧客の問題解決数が多いことや処理時間が早いことを表しているため、効率性を測ることができます。
しかし、処理時間ばかりをみてしまうと顧客対応の質がおろそかになる可能性もあります。効率性だけではなく顧客の満足度や評価も同時に見える化できると良いでしょう。
算出方法:(会話時間+後処理時間+その他時間)÷(総ログイン時間−離席時間)
稼働率はスタッフの稼働時間(ログイン時間)のうち、電話やデータ入力作業、Eメール対応などを行っている時間の割合のことをさします。顧客との通話やデータ入力の後処理などにかかった時間を稼働時間で割った数値で算出できます。
この稼働率はコールセンターの全体評価をするために用いられますが、稼働率は高ければよいというものではありません。各コールセンターの指標によって変動するため、現状の数値を把握し、適切な基準を設けましょう。また、新規立ち上げで指標設定を悩まれている方は、想定数値を設定し実際に運用をしながら、チューニングしていきましょう。
算出方法:繋がった呼の待ち時間÷つながった件数
ASA日本語では平均応答速度と訳されます。顧客から着信要求があってから、スタッフが応答するまでの平均時間を数値化・指標としたものです。
ASAが40秒と測定された場合、短い時間で繋がったもの、長い時間かかってしまい、つながったものの平均が算出されています。この平均応答速度を繋がりやすさのKPI指標として測定している場合は、定期的に繋がりやすさの分布状況を確認して評価や分析すると良いでしょう。
算出方法:規定時間内につながった件数÷着信件数
SLは一定の時間内でスタッフが応答できた呼数の割合のことをさします。たとえば、コンタクトセンターにおけるサービスレベルが70/30という指標を設定した場合は、着信から30秒以内に応答した呼数が、着信した呼の70%であることを表しています。このサービスレベルの表記は、KPI指標としても、スタッフのパフォーマンスデータ値としても参考として使用できるデータとなります。
算出方法:対応呼(件)÷着信呼(件)数×100
応答率は着信呼数に対して、コールセンタースタッフが対応した数の割合のことをさします。多くのコールセンター がつながることを重視し、この指標をとり入れていますが数値改善にはいろんな施策を打つ必要があります。また、応答率を放棄呼率で管理するコールセンターもあります。
算出方法:放棄呼(件)÷着信呼(件)数×100
放棄呼率は着信呼数に対する放棄呼数の割合のことをさします。応答率と対をなすものとなるので、放棄呼率の代わりに応答率の指標を使い数値管理するコールセンターもあります。
算出方法:アンケート方式での7段階評価
CESは顧客努力指標のことをさします。もう少しわかりやすく説明すると、顧客が問題を解決するためにどのくらい労力を要したかの顧客体験を評価する指標となります。CESは基本的に7段階で顧客に点数をつけてもらい、顧客が応対時ストレスを感じていたかどうかを測るものになります。このCES数値が高ければネガティブで低ければポジティブなものとなります。
数値を下げるためには、顧客が利用していて何かわからないことがあった場合、簡単な問題であれば自己解決できるような環境があると良いでしょう。たとえばFAQページやチャットボットを設置する方法があります。
算出方法:推進者(9~10)−誹謗者(0~6)
NPS®は企業やブランドに対する愛着・信頼・他者への推奨の度合いなどを数値化することで、顧客ロイヤリティを評価する手法のことをさします。このNPS®サーベイでは、「当社の商品・サービスを、知人・友人に薦める可能性はどのくらいありますか?」と質問し、それに対する11段階の回答(0~10)をもとに、顧客を3つのグループに分けます。推奨者(9~10)の割合から、批判者(0~6)の割合を引いたスコアが、NPS®となります。
このNPS®はとてもシンプルな質問であるため、幅広い業界や業種で利用されています。また、他社との比較が容易にできるためそれも大きなメリットといえるでしょう。
いかがでしたでしょうか?今回はコールセンターのKGI・KPIについてと12の評価指標をご紹介しました。さまざまな評価や分析方法がありますが、数値だけにとらわれず現場の声に耳をかたむけることも非常に重要です。
本記事でご紹介した指標をもとに自社のサービス改善、売上拡大に向けたコストセンターからプロフィットセンターの活動の参考になれば幸いです。
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