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2021.04.27
ブログ
AIコンシェルジュ
こんにちはTACTの櫛島です。
テクノロジーの急速な発展により、近年コールセンター業界でもAI音声認識を活用したAIコールセンターの導入・活用が進んでいます。この背景の1つには、国内の少子高齢化による労働人口不足問題の影響があると言われています。このような人手不足の課題に対してさまざまな企業が取り組んでいるのがAIコールセンターの導入です。
そこで本記事では、コールセンター向けAI音声認識を導入検討されている方を対象に、AI音声認識導入のメリットと注意点をご紹介するとともに、AI音声認識をコールセンターに導入するまでの5つのステップをご紹介します。
コールセンター向けAI音声認識とは、人がコールセンター対応していた業務をAI音声認識技術により代替し、顧客対応する技術のことをさします。
このコールセンター向けAI音声認識サービスは近年多くの企業で導入、活用され始めており特にコール対応数の多い中堅企業や大企業で利用され始めています。
AI音声認識によるコールセンター対応の背景には、国内の少子高齢化問題による人手不足が深く関わっています。少子高齢化による労働人口減少により、多くの企業が採用における課題をかかえており、コールセンターも例外ではありません。
コールセンター業界では、慢性的な人手不足に加え、若者の電話業務離れも影響し、新たなオペレーターの採用は非常に厳しい状況です。それに加え、深夜帯の対応や顧客のクレーム対応などはオペレーターの精神的な負担も伴い、他の業界と比べコールセンター業界の離職率は非常に高い状態です。
このようなコールセンター業界全体の課題に対しての対策として注目を浴びているのが、コールセンター向けAI音声認識の活用です。このコールセンター向けAI音声認識サービスは、AIの音声認識機能により通話内容をテキスト化し、そのテキスト化した質問などを予め学習しておいたデータからAIが認識・返答するサービスです。
また、コールセンターで受電したテキスト化されたデータを活用することで、通話内容の分析チェックやトークスクリプトの改善など、コールセンターにおけるさまざまな業務の効率化が可能となります。
近年急速に進んでいるAI音声認識を活用したコールセンターにはさまざまなメリットがあり、主に以下の5つのメリットがあります。
・通話内容確認業務の効率化
・クレーム対応の効率化
・コンプライアンス確認の効率化
・オペレーターの教育費のコスト削減
・採用に関わる費用、その他関連費用の削減
具体的に上記の各項目のメリットがどのようなことなのか解説していきましょう。
コールセンターを運用していくにあたり、特に重要とされているのがオペレーターの対応品質の把握・分析・改善となります。一般的に応対品質向上をするために、多くのスーパーバイザーが定期的に録音されたオペレーターの通話記録を確認・分析し、改善点をオペレーターに共有します。このような作業をオペレーターの人数分やっていると、どれだけ時間があっても足りない状態でした。
しかし、AI音声認識サービスを利用することでわざわざ各人の録音記録を確認し、トークスクリプト改善に向けたコミュニケーションを社内で取る必要がなくなります。それにより、スーパーバイザーはテキスト化されたデータを元に改善施策を効率的に遂行することができるようになります。
どのようなオペレーターもクレーム対応はしたくないものです。しかし、問題が発生した場合、顧客にサービスを提供している企業は、可及的速やかに問題を解決に導くため、クレーム対応をする必要があります。
このクレーム対応は緊急性が高く重要な業務のひとつです。しかし、クレーム対応の措置が遅れたり、内容をきちんと把握できずに、対応ができなかったりすることにより、さらに顧客へのストレスを与えてしまう可能性があります。加えて顧客だけではなくオペレーターにもストレスを与えてしまいます。
クレーム対応は、通話記録からクレームの内容を正確に理解し、マニュアルに沿った適切な対応をする必要があります。AI音声認識のコールセンターを適切に利用することにより、極力”ひと”への負荷を最小限に抑えることが可能となります。これにより、業務効率化だけではなく、オペレーターの精神衛生上も良くなるでしょう。
コールセンターを運営する中で、近年対応に注意する必要があるのがコンプライアンスのチェックです。オペレーターが対応する中でコンプライアンスに違反した会話をしていないか、定期的に確認しなければなりません。
このチェック作業はオペレーターの録音通話をひとつずつ確認する必要があるため、確認に多くの時間を費やしてしまいます。しかし、コールセンター向けAI音声認識を活用することで、テキスト化された会話からNGワードなど含む内容のみを確認することが可能となります。これにより、コンプライアンス確認作業の効率化が可能となるでしょう。
コールセンターでの、オペレーターの採用・教育には予想以上にコストがかかります。オペレーター未経験であれば、教育教材やトークスクリプトの準備、その他の電話応対の品質向上に向けた教育支援が必要です。
しかし、コールセンター向けAI音声認識を導入することにより、オペレーターは最小限で運用し、効率的なコールセンターの運用が可能となり、その他の人的リソースを”ひと”にしかできない営業活動や企画などに注力することが可能となります。
今現在、コールセンターを運用するにあたり、
「何が課題で、AI音声認識を活用したコールセンターサービスを導入することでどう解決されるのか。」
を言語化し、明確にする必要があります。
このIssue(イシュー = 課題)とWish(ウィッシュ = 願望)を明確にすることで、自ずと目的とするゴールが決まってくるでしょう。まずは、「何のためにAIコールセンターを導入したいのか」「ゴールはどこか」を定めるために現状の整理を徹底的におこないましょう。
また、社内でコールセンターを運用している場合、どの部分をAIコールセンターとして運用するのかターゲット範囲を絞り、スモールスタートで始めるのが得策です。小さく始めて、大きく広げていくと効率的かつ効果的なAIコールセンター展開と促進に繋がります。
このフェーズでは、AI音声認識のシステムに過去の音声やコールセンターデータを学習させる作業をおこないます。たとえば、よくあるQ&Aの内容やよく使われる単語、さまざまな言い回し・専門用語など、AI音声認識に学習させるための作業をおこないます。当社の場合は、全てAIに学習をさせる作業を当社で行うため、依頼いただいたクライアント様は内容に問題ないかのチェックのみして頂ければ大丈夫です。
学習データのチューニングは最も重要な作業のひとつです。AI音声認識の対話認識精度を分析し、課題がある箇所は回答精度改善に向けたチューニングをおこないます。間違ったチューニングをすると、AI音声認識の精度低下に繋がります。そのため、正しくチューニングをおこなう必要があります。このチューニングテストを何度も積み重ねることにより、自社に最適化されたAI音声認識の構築基盤ができます。
AI音声認識のコールセンターを本番公開します。本番公開中も運用中のAIコールセンターを定点観測・データ集計を継続することにより、データドリブン・AIコールセンターの基盤を構築することが可能となります。
AI音声認識のコールセンターを継続して精度向上するために、不足しているQ&Aの追加やシナリオの変更等を行い、設定したゴールに向けた運用をおこないます。定期的に分析をし、PDCAを回していくことで細かなデータが蓄積され、精度を確実に向上させていくことができるでしょう。
AI音声認識は、多くのメリットもありますが注意すべき点もあります。AIコールセンターの導入を進める際に重要なのは中長期的なスパンで考える必要があります。AI音声認識のコールセンターを導入したからといって、明日からすぐに使える、というものではありません。
何度も記載していますが、導入に向けた事前の要件整理とどの範囲で導入するかのスコープを明確にする必要があります。また、大規模導入にはかなりのリスクがあるため、まずは小規模導入・運用し、ある程度の成果がみえてきたら、徐々に対象となるスコープを広げていく進め方をおすすめします。
いかがでしたでしょうか。本記事では、音声認識AIのメリットや導入の流れについて大まかにご紹介しました。各企業などにより求められる要件が変わってくるため、具体的なAIコールセンター導入については当社の問い合わせフォームよりご連絡いただければ幸いです。