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2018.10.30
ブログ
メッセージ
U‐NEXTマーケティング代表の溝辺です。今回は、AIコンシェルジュをサービス化するまでに至った思考のプロセスを、お話ししたいと思います。
<過去の連載記事>
代表ブログ(第4回):変化に対応せざるを得ないサバンナのライオン
まず、U‐NEXTマーケティングは、VOD(ビデオオンデマンド)サービスを提供しているU-NEXTの、アライアンスによるコールセンターCRMマーケティングを目的に設立されました。気が付くと450人規模となり、コールセンターとして生きる道を、選択せざるを得ない状況になってしまいました。幸か不幸か、今後10年後20年後どうやって食べていくか?の判断を迫られたのです。
とりあえずコールセンターの業界企業分析をしました。主要大手10社くらいで70%程度売り上げを有し、市場が寡占化している状況です。分析当時の市場は8500億円近くあり、人材枯渇の状況に反して年々伸びています。今では一兆円を超えているビックマーケットです。また、TOP企業は2000億近くあり、われわれはTOP企業に太刀打ちできるとは思えず、想像するにも程遠い状況でありました。さて、未来を考えるにあたり、よくある10年後はこうなっている?とか20年後はこうだ!とかは、メディアには出ていますが、そうなっているかは、ほぼ信じていません。
参考:【コールセンター売上高調査】上位30社で市場規模8.8%拡大
全ての、マーケットは人に紐づいて動いている。すなわち人口です。
2040年には、生産労働人口は6000万人を割れていく。そこにコールセンターのような労働集約型で拡大を続けていけば、体力勝負で必ず負けていくのと、資本効率が悪すぎると思い、自動化すなわちAIに目をつけました。しかし、新規事業を起こすには小さな会社ですので、海のものと山のものともつかない新規事業に投資する体力はありません。そこで、私と人事担当と営業推進担当、一年目の新卒社員、この4人で検討プロジェクトを立ち上げました。当然、皆各々の現業務を持っており、販売管理費増にはならない状況での大手では考えられないスタートを余儀なくされました。
AI技術と言っても広範囲の為、まずは、事業ドメインが近い音声認識と音声合成を使う技術に特化し分析をしました。また、AIといっても、AIの定義も定まっておらず。定義と技術、やりたいソリューションの狭間で苦しんでいました。
まず、一つめの壁は、音声認識から音声合成まで一気通貫して提供できる技術確立がされていないことと日本語領域では知る限りでは実例がなくやっていないこと。チームでは、どういう形であれ10年後20年後はこうなっているとの共通認識と人間が宇宙に行く時代なので必ずできると説得力のない言葉でだましだましサービス開発をやってきました。人が宇宙に行ったのは1960年代ですよって突っ込まれたのは言うまでもありません。
技術提携する企業もきまり、ある程度イメージが固まると、ビジネスストラクチャーとマーケットの話になります。コールセンターマーケットにサービスを投入するとどうなるかのシミュレーションをしました。
あと、参入障壁をどう作るか、追随してきた場合の時間軸を考える必要があります。まずは、コールセンター大手企業の、社長・役員分析をしました(笑)おおむね、社長は4年から5年で変わっているようで、在任期間には、サービスを作っても、事業を大きく転換しない可能性が高いと考えました。寡占化している殆どの企業が自動化をすれば売り上げが下がるジレンマに構造上なっていました。とりあえず、追随されるリスクと参入までの時間は確保できると考えたので、それでは事業化です。
事業化において重要なものは、投資・サービス設計・価格戦略・営業戦略のこの4つです。
投資は、内部キャッシュにてまかなうこととしました。サービス内容はあまりお話できないものもあるのでここでは割愛いたします。
それでは、営業戦略についてです。私個人は、飛び込み営業、代理店営業、法人営業、セミナー営業もやってきました。しかし、ここではあえて自身の過去のノウハウや成功体験に基づいた営業戦略を捨てることし、そのほかのチャネルで設計することとします。理由は、サービスを横展開するには、TOPセールスは限界があることと、法人営業のノウハウをもった人を採用し、このコストをサービスに転嫁することが価格競争力を下げることにつながると思ったからです。
しかし、徹底的にプル型のサービス・コストを追求し設計をしてしまうと、その仕組みが需要と外れたとしても、プュシュ型に転換できるような構造にすることとします。これは保険です(笑)よくあるWEBサービスがプル型でバズらなければ手の打ちようがないことを、皆理解していました。
では、プル型の戦略をどう作っていくか?検討を重ね広報によるWEB主導とイベントにての集客に絞ることにしました。価格も決め、サービスの仕様も決まり、サービス名も『AIコンシェルジュ』とし、いよいよサービスリリースとなります。
無名の会社が、サービスの旗を上げ、認知を深めるのは、非常に困難です。
とりあえず、プレスに投げ込みをいれ、関連会社の広報担当が、メディアの記者に必死に電話してくれ、記者会見には、40社近くの記者に来場していただき、WEBメディアに関しては、140社もの媒体に出ることに成功いたしました。
ここまでが世に出るまでの思考のプロセスです。言うまでもなく、AIコンシェルジュはまだまだ発展途上のサービスでありますが、このような思考で、僕らはサービスを作ったので、弱者が強者と戦うには選択肢があまりありませんが、弱者だからこそ出来る戦い方があるのを学びました。
もっともっとサービスを進化させお客様に喜ばれるサービスを作っていきたいと思います。